身近な地域を実際に歩いて巡る「てくてく歩記」。新しい年を迎え、引き続き伊賀地域各地のさまざまな表情をご紹介できればと考えています。今回は、伊賀市の依那古地区の東部を歩く約7キロのコースです。(取材・山岡博輝)【写真1枚目 沖集落の一角にある沖四面石仏。右手奥には旧丸山中学校が見える】
取材は昨年末の12月26日。午後1時半、伊賀鉄道依那古駅前を出発した時点では、まだ若干の晴れ間がありました。線路沿いのフェンス脇を通って踏切を渡り、まずは沖の集落へ。風がかなり強く、空にいるトビも止まっているようです。
公民館を過ぎ、民家脇の小道を入ったところに、十数体ほど石仏が並んでいます。地図上には「石仏群」とある場所ですが、地元の方に聞いてみても詳しいことは分かりません。来た道に戻り、消防ポンプ庫脇の花壇に目をやりつつ集落内を右往左往していると、大小の石が集まる道端の一角に高さ1㍍ほどの「四面石仏」がありました。
伊賀地域と周辺の石仏の拓本を集めた書籍「伊賀の石仏拓本集」(市田進一さん刊)によると、この石仏は鎌倉時代後期の作とみられ、15年ほど前に確認されたもの。3面に仏像、残り1面に五輪塔が彫られています。事前に見た地図には名称だけがあったので、どんな姿なのかを確認することができました。
少し足を止めていると、「早く歩け」とばかりに強い風が背中を急かせてきます。農業施設に積んであるもみ殻が舞い、畑のかかしは飛ばされないように柵につかまっているように見えました。背後では、ピンク色の忍者列車が南へ向かっていきました。
【写真2枚目 沖集落東方の高台にある不動寺】
集落の中を抜け、東の山手へ。昨秋の台風の影響か、路肩が少し崩れています。高台の不動寺からは、広く依那古地区、猪田地区などを一望。寺の周辺には、イノシシ用のわながいくつも設置されていました。
広い道を北へ進み、鳥羽池の先を右手に折れて林の中へ。天候が怪しくなってきましたが、長池と新池の間の堤から見渡すと、小雨は降っているものの、まだまだ明るいようです。飛び立つ白いサギを見ながら坂を下り、文吾池を過ぎると元来た道へ戻りました。
【写真4枚目 新池では飛び立っていくサギを見送る】
農道との交差点にあるハボタンが植えられた花壇で小休止し、市部の集落の方向へ。前方に「垂園森」の大きな茂みが見えてきました。少し北方にある「哀園森」とを見比べながら、線路沿いに出発地点を目指してラストスパート(?)。少しかいた汗もすっかり強い風で収まり、午後3時20分に依那古駅へ戻りました。歩数計は9920歩でした。
【写真5枚目 手前が垂園森、左奥が哀園森】
いつも通る通りを一歩入ってみたり、少し道をそれてみたり、ある時には振り返って景色を眺めてみたり。そうして出会える小さな発見を、今年も積み重ねていこうと思います。
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