身近な地域を実際に歩いて巡る「てくてく歩記」。特別編でお送りする今回は、「癒しの里 伊賀の湯」(伊賀市久米町)と「癒しの里 名張の湯」(名張市希央台)がこのほど始めた「ラン・ウォーク銭湯」企画を活用し、伊賀市の中心市街地をぐるりと回る約5・7キロのコースをご紹介します。(取材・山岡博輝)【1枚目の写真 3色の忍者が迎えるゲート】
「気軽にランニング(ウォーキング)をしたいけど、荷物や着替えが……」という方のために、施設内のロッカー貸し出しや荷物の一時預かりなどをする取り組み。入浴料などは別途必要ですが、会員登録(無料)をすれば1回100円でロッカーと更衣室を利用でき、出発時には500㍉のミネラルウォーター1本がもらえます。
2月22日、「伊賀の湯」でスタッフの山田翔太さんから説明を受け、見送られながら午後3時45分にスタート。既に空には雲がたくさん出ていますが、なんとかもってほしいものです。
【愛宕神社境内の「忍者神社」】
最初は北へ向かい、忍者をあしらった「ようおこし」のゲートをくぐります。桑町の点滅信号を西に折れると、細い道の突き当りに「愛宕神社境内地」の石柱が見えてきました。境内にはもう一つ、同神社の再興を発願・主導した修験者、小天狗清蔵を祭る「伊賀上野忍者神社(阿多古忍之社)」があります。
神社の北側に出ると、正面は中心部まで続く中之立町通りですが、ここは西に向いて万町の方向へ。万町から西大手町方面への南北の通りは、筆者の高校時代の通学路でもあり、当時とあまり変わらない懐かしい風景が続いていました。
【ツバキが咲く鍵屋ノ辻公園】
カラー舗装の三之町通りを越え、本町通りの信号からは西へ。向島町の交差点を渡り、景色の開けた坂道を下りかけると間もなく、右手には上野天神祭で巡行する向島町のだんじりの蔵がありました。春が近づいているからでしょうか、道端の竹やぶを見るとタケノコが上がっていないか気になりますが、さすがにまだ早いようです。
緑豊かな公園となっている「鍵屋ノ辻」は、日本三大仇討の一つに数えられる旧跡。公園内に歩を進めると、木々の間を走っていく伊賀鉄道の忍者列車がちらっと見えました。坂を上り、旧崇広堂と上野高校の間を北へ折れると、右手には日本一の高さで知られる伊賀上野城の高石垣がそびえ立っています。
【伊賀上野城の高石垣を西側から望む】
城北の家並みを眺めながら、上野公園内へと続く未舗装の散策路へ。辺りは風も当たらず、堀には静かに緑一色の水面が続いていました。間もなく散策路が二股に分かれ、右手は天守閣、左手は伊賀流忍者博物館(忍者屋敷)や、松尾芭蕉ゆかりの俳聖殿へと続いています。今回は左へ進み、1本だけ満開になっていた博物館入り口の紅梅を眺めながら市役所方向へと下っていきました。
ちょうどこの日は「忍者の日」にちなんで伊賀市が「忍者市」を宣言した日でもあり、市役所玄関前には看板も掲げられていました。踏切を渡り、ハイトピア伊賀付近から振り返ると、先ほど西側から一瞥した伊賀上野城の天守閣が遠くに見えました。
本町通りの東端にある菅原神社(天神さん)に立ち寄り、三之町通りへ。ふと、どこからか「上を向いて歩こう」を奏でるオカリナの音色が。曲につられて見上げてみると、ずいぶん日は傾き、怪しい色の雲が迫ってきていました。
銀座通りに出れば、あとはひたすら南へ。辻々に立つ、可愛らしい小さな忍者の石像の写真を撮り、桑町まで戻ると正面に「ゆ」の看板が見えてきます。スタート直後に見たゲートをくぐると、反対側には「またきてだーこ」の文字。忍者たちに見送られながら、午後5時20分に伊賀の湯へ戻ってきました。歩数計は9507歩を指していました。
今回は市街地を巡りましたが、郊外へも足を延ばしやすく、ランニング・ウォーキングの拠点としては好適地です。両施設では5キロ・15キロ前後のモデルコースを記したマップも配布していますので、活用してみてください。なお、入浴・岩盤浴などの利用は実費負担となります。
問い合わせは伊賀の湯 電話0595・21・4126、名張の湯 電話0595・28・5526へ。