マンモグラフィは万能ですか?

マンモグラフィで安心?

マンモグラフィは乳がんの診断に万能なのでしょうか?

マンモグラフィさえ撮っておけば安心できるのでしょうか。残念ながらそうではないのです。
図1をご覧下さい。左が若い人の乳房、右が高齢者の乳房です。高齢者の乳房が黒っぽく見えるのに比べ、若い人の乳房はずいぶん白く写っています。これは若い人の乳房では、乳腺が発達しているのに対し、高齢者の乳房では乳腺が減少して脂肪に置き換わっているからなのです。マンモグラフィでは、活発な乳腺は白く見えるのに対し、脂肪はグレーから黒色に写ります
そのために、このような色の違いが生じるのです。

見え方に変化

前号で、乳がんはマンモグラフィで白い塊(かたまり)として写るとお話しました。
図2をご覧下さい。左が若い人の乳房、右が高齢者の乳房のシェーマを示しています。若い人の場合には、白い色をした乳房に白いがんの塊ができるのですから、これは見つけるのが大変です。逆に高齢者では、グレー色の乳房に白いがんができるのですから容易に見つかります。
このようにマンモグラフィにおける乳房の見え方は年齢とともに変化します。高齢になるほど、乳房は脂肪が多くなって黒く見え、がんが見つけやすくなります。逆に若い人の場合には白くなり、がんを見つけるには条件が悪くなります。特に授乳期には乳房が大きくなり、がんを見つけるのがなお一層困難になります。授乳しているお母さんは気をつける必要があります。
乳がんは白いため、バックが白い若い人の乳房(左)では見にくいですが、バックがグレーの高齢者乳房(右)ではコントラストが付いて見やすくなります。

エコー検査も

このような場合に役立つのがエコー検査です。エコー検査では、乳腺の発達した若い人の乳房でも容易に腫瘤(しゅりゅう)を見つけることができます。現在行われている検診の多くは、50歳以上ではマンモグラフィ単独による検診、40歳代でエコーとマンモグラフィの併用、30歳代ではエコー単独による検診というように、年齢が若いほどエコーによる検診の比重が高くなっているのはそのためなのです。
ただし、エコーの欠点は撮影する人の技量に影響されること。すなわち、上手な人が撮ればがんは高率に見つかりますが、そうでない場合には見逃されることも多くなるのです。何事にも長所と短所があり上手く使い分けること、これが大切です。

※図1の写真は、日本医事新報社刊「マンモグラフィによる乳がん検診の手引きー精度管理マニュアルー第3版―」より引用しました。

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