早朝の峠越え
今回は、名張市から奈良市の東大寺へ「修二会(お水取り)」に使うたいまつを届ける伝統の「松明調進行事」(3月12日)に取材のため一部同行しました。
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出発は午前6時。辺りはまだ薄暗く、気温は氷点下。5荷のたいまつは主に講員や近大高専の野球部員らが担ぎ、ほら貝の音を合図に約160人の隊列が動き始めます。まず西へと向かい、霜の降りた田の中の道に進みます。ようやく東の空に赤みが増してきました。
宇陀川を渡って国道に出た一行は、峠越えに備えて最初の休憩。団地の上手までは舗装路を歩き、左に折れると落ち葉に覆われた日陰の山道に入ります。足元は滑りやすく、担ぎ手を後ろから数人が後押しし、声を掛け合いながら登ります。
幾度か休憩しながら歩を進め、出発から約1時間半、笠間峠の頂上に出ました。ここからひたすら下り続け、出発から約2時間後の午前8時すぎ、旧笠間小学校に到着しました。ここでは、地元のボランティアの皆さんにもてなして頂き、冷えた体を温めました。
一行はバスに分乗して東大寺を目指しましたが、記者はここで同行を終了。歩数は約1万歩でした。上笠間から歩いて名張方面へ戻るには、少し南下して深野から安部田へ下り、棚田が広がる景色を楽しむのも良いでしょう。
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