

店内に入ると、伊賀のゆるキャラ「いが☆グリオ」に寄せられた著名人の色紙やグリオグッズ、平井堅のCDジャケットの原画の下絵、地域の人気店の菓子、雑貨なども目に留まる。
書店の奥にはベーカリーショップや、カフェコーナーもある。「地元の方に楽しんでもらえる場やネタを提供しながら来店促進の小さな努力を続けています」
30年前、TSUTAYA(本社・東京都渋谷区)に加盟し、ビデオレンタルを始めた。TSUTAYAの加盟店は現在、全国で千店を超えるが、岡森書店は約50店目、本とビデオ、DVDソフトなどのレンタルの組み合わせの先駆けだという。
「私は当時高校生で、ビデオレンタルがまだ世の中に認知されていなかった時代に、先代の父がこの組み合わせを考えました。先見の明があったと思います」。本だけでなく、ビデオをレンタルし、ついでにパンも買って帰ろうということで相乗効果が生まれ、来店客も一気に増えた。
書店とレンタル店では社員5人を含め、計30人のスタッフが働く。書店スタッフの大半は10年以上勤務するベテランだ。「育児を終えて復帰した20年以上の大ベテランもいますので、お客さまも安心され、スタッフとおしゃべりすることを楽しみにされています。多分、居心地が良いと思ってくださっているのかな」と笑う。
それでも昨今の大型店の進出や若者の活字離れなどの影響で、書店の経営は厳しいという。一昨年2月、業務効率化の一環で、書店とレンタルのレジを1か所に統合したところ、客足が一気に遠のき、売り上げも急落した。「やはり本は本屋のレジで買いたいというお客さまが多く、わずか5か月でレジを別々に戻しました」
書店としての歴史の中で培ってきた土壌、それぞれの売り場のスタッフと顧客との人間関係、そうしたものを崩してまで時代の流れに合わそうとしてはならない、と確信したという。
岡森書店は現在、TSUTAYAグループのPOS(販売時点情報管理)システムを導入し、全国の店頭での売れ筋や在庫情報を掌握するとともに、提携店共通のポイントカード、新刊や話題本の早期仕入れなどを実現している。しかし「本の品ぞろえはツタヤ本部の指示ではなく、当店の特色やお客さまの反応に基づくスタッフの感覚を大事にしています」。
レンタル店(TSUTAYA上野店)の奥嶋卓也店長(26)は「他店よりエンターテインメントの情報はいち早く入手し、売り場づくりをしています。また書店のスタッフと最新情報を共有しています」と話す。
岡森店長は「今の時代、スマートフォンでも本は読めますが、装丁も含めた本の価値を大事にし、店内での読み聞かせやワークショップなどを通じて本の良さや地元の情報を発信していきたい」と力を込めて話した。
2018年2月24日付718号6面から