伊賀市が伊賀神戸駅近くに設けた誘致企業従業員送迎用バス待機場の土地賃貸借契約を巡る問題で、市議会の特別調査委員会(百条委)は2月27日、出頭した2人に証人尋問を行った。委員からは市が所有者でもない中岡久徳議員(70)に計画や契約の内容を伝えて交渉していたことに対し「情報漏えいだ」との指摘があった。
1人目は、市が契約を結んだNRKエナジー合同会社に土地を売却した丸中産業の前代表取締役で中岡議員の親族女性(56)。2016年9月に土地を売却した当時の状況について「運転資金が必要であり、売却を検討していた」と話し、同社と中岡議員の関係について「会社とは関係ない。13年に退職している」などと関与を否定した。
2人目は産業振興部の東弘久次長(56)で、百条委への出席は1月の参考人招致に続いて2回目。この日の証人尋問では「金額、面積は中岡議員を通じて話をした。金額は不動産鑑定評価額を基にした賃料になると伝えた。エナジー社、丸中産業ともに話をしたことがない」と、交渉の状況を改めて説明した。
土地所有者がエナジー社であることを確認する資料として市が提供を受けた土地売買契約書の写しに金額の記載や収入印紙の貼付がなかった点については、「欲しかったのは地番と契約者双方の押印があるもの。金額は知る由もなし。金額が入った契約書をくださいとはあえて言わなかった」と答えた。
バス待機場は面積や約3000平方メートル。借地料は年額約435万円で、契約期間は17年1月から2036年3月までの19年3か月。市が借地料の算定する根拠にした鑑定評価額は1平方メートル当たり約3万6000円で、エナジー社と丸中産業による土地売買価格は2200万円だったことが前回の証人喚問で明らかになっている。