名張市立病院は12月13日、2016年度に発生した医療事故数が前年度比24件増の46件と倍増し、統計開始以降2番目に多くなったと発表した。一方、事故未満の「ヒヤリ・ハット」は同5件減の904件と微減した。同日から同病院のホームページで公開している。
医療の透明性を高める目的で2004年から公表しているもの。同病院が独自に定める医療事故防止マニュアルに基づきミスを6段階に分け、レベル0から1をヒヤリ・ハット、2から5までを医療事故と定めている。
医療事故のうち、事故が原因で検査の必要が生じるなどしたレベル2は同20件増の34件で、治療や障害が発生したレベル3は同4件増の12件。高度障害が生じたものや死亡に至るレベル4、5のケースはなかった。
医療事故の倍増は、入院患者の61%を70歳以上の高齢者が占め、認知機能の低下などから転倒・転落する事故が増加したため。レベル2では同13件増の18件、レベル3では同3件増の7件と半数近くを占めた。レベル3の事案では、投与した薬の副作用で幻覚状態になった入院中の80代女性がベッドから床に倒れ、左大腿骨を骨折した。
同病院では転倒しやすい患者に対し、危険が少なくなるようベッド周辺配置を記した図「環境チェックリスト」を個別に設けるなどして、改善策に取り組んでいるという。