解体中だったJAいがほくぶ旧本店(伊賀市四十九町)の建物内部から発がん性物質のアスベスト(石綿)が見つかり、施主代行のJA全農みえが10月19日、工事を一時中止したと発表した。JA全農みえと工事を受注した市内の業者は、大気汚染防止法で義務付けている必要な事前調査や県への届け出などを怠っていた。【解体工事が中止になった旧本店の建物=伊賀市四十九町】
20日にJA全農みえなどが伊賀市役所で記者会見を開いた。18日に判明した建物内部の検査結果では7か所のうち階段室と廊下の天井部分など3か所からアスベストが見つかった。
JA全農みえは、先月11日に開いた入札参加予定業者に対する現場説明会で「外壁吹き付け材にはアスベストは含まれていない」という事前調査の分析結果を報告。建物内部は調べておらず、受注した業者も調査や対策を行わずに今月2日から解体工事を始めていた。
県によると、6日に匿名で通報があり、12日に工事中止を指導。県が同日実施した環境測定では敷地境界からアスベストは検出されなかった。
旧本店は1972年建築の鉄筋コンクリート造り2階建てで、91年に一部を増築。延べ床面積は計約1382平方メートル。解体工事の完了は11月末の予定だった。
JA全農みえは今後について「県や労基署の指導の下、法令を遵守し適正な工事に努めてまいります。中止の間も飛散防止措置や定期的な環境測定を実施します」としている。