台風21号による激しい風雨に見舞われた名張市は10月23日、市内の被害状況をまとめ、発表した。市営墓地「東山墓園」(同市下比奈知)では地滑りが発生し、造成初期から貸し付けている第1期墓所1260区画のうち約170区画が崩落した。【地滑りで墓石が流された東山墓園の第1期墓所=名張市下比奈知で(写真の一部を加工しています)】
市によると、墓地は山の斜面を造成し1978年から供用。現場は同墓地管理棟から北西に約50メートルの地点で、東西約60メートル、南北40メートルに渡って崩落した。山肌が露出し、園内道路のコンクリート部分や墓石などが土砂とともに下流側砂防ダム側へ流れ出た。市が今後詳しい被害状況や原因を調べる。
市内の土砂崩落被害は他に77件あり、同市富貴ヶ丘6番町では民家裏の法面が縦20メートル、横20メートルに渡って崩れ、家屋に迫った。床下浸水は7件あり、宇陀川近くの箕曲中村では堤防を越えた水で道路が冠水、事務所1軒が水に浸かった。
人的被害はなかったが、22日午後9時ごろには夏秋地内の林道を車で走行していた男性が、土砂崩落と冠水の影響で車内に閉じ込められ、名張市消防本部から救急隊が出動、救出される一幕もあった。
市内の暴風警報は23日午前9時45分に解除。これを受け、市立小中学校も19校中、休校が決まっていた南中を除く18校が、4限目以降に授業を実施した。
市の災害対策本部は午後0時5分に解散した。市と地域が設置した避難所24か所は、午後1時15分で全て閉鎖した。ピーク時の同日午前1時には15か所に67世帯282人が避難し、鉄道運休による帰宅困難者55人も身を寄せたという。