生徒たちが修復したのは、庁舎の設計者で日本のモダニズム建築の先駆者として知られる坂倉準三(1901‐69)がデザインした事務用の「小いす」とくつろぐための「中座いす」の各1脚。2月から解体作業を開始したという。
本体の木材部分はやすり掛けの後、ほぞ組の緩んだ部分を分解して接着剤で補強。汚れや傷がある座面は、新しい黒のビニール皮とオレンジの布に交換し、クッション性が失われたウレタン材も新調した。
報告で訪れたのは建築造形部に所属する21人のうち、1年生から3年生の男女12人。副部長で機械科2年の室佑磨君(17)は「手縫いなど繊細な作業に時間がかかってしまったが、とてもいい体験になった」と感想を述べた。
顧問で工芸デザイン科の平野太一教諭は「作業を通じて設計者のことも知ることができ、すごく勉強になった」と振り返った。岡本市長は「おしゃれな色のいすに再生してくれた。ありがとうございました」と感謝を述べた後、修復したいすに腰を掛けて座り心地を確かめた。