伊賀鉄道は7月14日、公有民営化する前年の2016年度収支状況を発表し、営業損失が前年度比9600万円増の3億3000万円だったと報告した。2億2200万円(前年度比6・8%減)の営業収益に対し、支出にあたる営業費用は5億5200万円(同16・9%増)だった。【伊賀鉄道の現状を説明する榎本常務=ハイトピア伊賀で】
同日にあった伊賀線活性化協議会の2017年度総会で説明した。伊賀線は07年10月から近鉄と伊賀市が出資する第三セクターの同鉄道が運行。昨年8月に開業100周年を迎えた。今年4月には近鉄が保有する鉄道施設や車両などを市に無償譲渡し、市が維持管理しながら同鉄道に無償貸与し運行する「公有民営方式に移行した。
営業費用が膨らんだ理由について、榎本方士常務は「公有民営化を前に近鉄が枕木や電柱の交換など線路補修をした経費が伊賀鉄道側に計上されたからだ」と述べた。赤字分は伊賀市が6000万円、近鉄が2億7000万円負担した。今年度以降は伊賀市が全て負担する。
全体の輸送人員は過去最低の145万4000人で、前年度より6万2000人減った。内訳をみると、通勤定期は23万9000人と横ばいだったが、通学定期が5万7000人少ない80万人、切符を買って乗車する定期外も5000人減って41万5000人だった。
利用促進について、榎本常務は「1日当たり約1100人の学生に利用頂いているが、学校の定員が減るなかで、新設校ができない限り、通学定期の乗客を増やすのは難しい」と分析。今後は定年を延長したマイカー通勤の会社員らを対象に「環境にやさしく安全な電車の定期通勤を利用してもらうよう、市と協働して働きかけていきたい」と話した。