文化庁は4月28日、2017年度の日本遺産に認定した17団体を発表し、伊賀市と甲賀市が共同申請したストーリー「忍者の里 伊賀・甲賀‐リアル忍者を求めて‐」が入った。両市は今後、地域に点在する忍者関連の文化財を活用し、連携して広域観光を進めていく。【日本遺産の認定証を手にする岡本伊賀市長(左)と岩永甲賀市長(伊賀市提供)】
日本遺産は地域の風土に根ざし受け継がれている伝承、風習などを踏まえ、点在する有形無形の文化財群を中核にしたストーリーを認定する制度で、2年前に始まった。これまでに37団体が認定され、県内では明和町の「祈る皇女斎王のみやこ 斎宮」に次いで2例目になる。
伊賀・甲賀市は今回が3度目の挑戦。ストーリーを再構築し、認定後の活用計画を見直したことが認定につながった。ストーリーを構成する文化財には両市の中世城館群や伊賀市の「霊山山頂遺跡」「手力神社と手力の花火」「藤林長門守墓所」、甲賀市の「神君伊賀越え関連遺跡」「甲賀衆結束の鎮守の杜」「山伏の修練場」(同甲賀市)など、いずれも忍者の里を示す23の文化遺産を盛り込んだ。
28日に都内で認定証の交付式と共同記者会見があり、岩永裕貴・甲賀市長と出席した伊賀市の岡本栄市長は「伊賀市と甲賀市は歴史に裏づけされた忍者の本流地として、以前より連携して忍者による観光振興を行ってきた。今回の日本遺産認定は、こういった我々の本気度、姿勢が評価されたと思う」とコメントした。
伊賀市観光戦略課によると、両市では今後、忍者を生かした観光振興に向けて協議会を立ち上げ、忍者ブランドを国内外に発信するPR活動▽伊賀甲賀広域忍者パンフレットの作成▽忍者を活用した広域的観光イベントの開催など日本遺産魅力発信推進事業として取り組む予定。