伊賀上野観光協会は3月10日、伊賀市の直営施設で2月末に閉館した旧上野歴史民俗資料館(同市上野丸之内)を借り受け、「(仮称)伊賀伝統伝承館」を開設すると発表した。オープン予定は来月1日で、同市四十九町の「伊賀くみひもセンター組匠の里」が中心市街地に移転し、展示や製作体験ができる施設として活用する。【記者会見に出席した観光協会の廣澤会長(左)ら=伊賀市役所で】
資料館は鉄骨造りの3階建て約720平方メートル。1996年に当時の上野市が購入し、99年に耐震化した。市は今月8日に市議会議員全員協議会で施設の貸し付けについて説明。営利目的の土地建物部分に対する使用料として年間35万3800円で同協会と契約を結んだ。
【伊賀伝統伝承館が開設される旧上野歴史民俗資料館=伊賀市上野丸之内】
センターは資料館と同じ先月末で休館。所有・運営してきた県組紐協同組合は協会の会員で、協会が資料館の使用許可を出す。記者会見に同席した前沢行雄理事長(64)は「伊賀市に2つの伝統的工芸品があることを知らない方もまだまだ多い」と話し、観光施設が集まる中心市街地に移ることで来館者が更に増えて認識が広まることに期待した。
組合によると、会員の数は3月10日現在、伊賀・名張両市に26軒。大ヒット映画「君の名は。」に組紐が登場したことから組紐器具の「丸台」を使いキーホルダーやブレスレットをつくる体験希望者が急増。昨年度は3495人だったが、今年度は1・5倍を見込んでいる。【2月末で閉館し、既に売却された伊賀くみひもセンター=同市四十九町】
協会では、将来的に同じ伝統的工芸品の伊賀焼も展示販売し、観光情報の発信基地やギャラリーなどの機能も検討しているという。
廣澤浩一会長(70)は「伊賀上野NINJAフェスタが始まる4月にオープンでき、大変喜んでいる」と話した。