五穀豊穣や交通安全などを願う、伊賀市馬場の陽夫多神社(神田忠彦宮司)の伝統神事「裸々押し」が2月18日夜に行われた。寒空の下、氏子青年会の会員や地元の小学生ら約50人が下帯(ふんどし)姿で跳ね回り、輪になって繰り返し練った。【下帯姿で押し合う参加者ら=伊賀市馬場で】
裸々押しは天正年間の16世紀末に始まったとされ、2地区に分かれた氏子同士が押し合い、来たる年の収穫具合などを占ったと伝わる。氏子の高齢化などもあって近年は地元の児童や一般の参加もあるという。
午後8時ごろ、下帯だけの姿になった参加者たちは、社務所から石段を駆け上がって本殿でおはらいを受けた後、拝殿に下りて肩を組み、輪になって片足で跳ねながら「わっしょい、わっしょい」と大きな声で何度も練った。総代らが「五穀豊穣で打ってくれ」などと声を掛けると、参加者らは「しゃーんしゃん」と手打ちをした。
裸々押しに参加した同市川合の山岡聖典さん(40)は「例年より寒くはなかったけれど、しんどかった。本厄なので、厄除けを願って押した」と話した。