県立伊賀白鳳高校の建築造形部に所属する1、2年生7人と指導教諭が1月12日、伊賀市役所を訪問し、庁舎を設計した坂倉準三氏(1901‐69)のデザインによる、いすの修理を申し出た。応対した大森秀俊副市長は「素人が見てもすばらしいいす。直して使えるようになればいいし、申し出はうれしくありがたい」と歓迎した。【坂倉氏デザインのいすを囲む伊賀白鳳高の生徒たち=伊賀市上野丸之内で】
市管財課によると、庁舎内に残っている坂倉氏デザインのいすは2種類あり計55脚。庁舎が竣工した約50年前から使われている。同部の指導教諭で工芸デザイン科の平野太一教諭(36)が昨年5月、庁舎を見学した時にたまたま見つけ、国内で名作の一つに挙げられるいすの修理に部活動の一環で取り組もうと生徒に提案したという。
2種類のいすはブナ材と形成合板が使われており、生徒たちは1脚ずつ学校に持ち帰り、分解してほぞ組みの緩んだ部分を接着し直し、破れたり痛んだりした座面の布や皮を張り替えるなどして、5月の連休までに仕上げる予定。修理に必要な材料費は市が負担する。
座面が大きくゆったりとした中座いすに腰掛けてみた2年の川上穂乃花さん(16)は「スポンジが劣化しているが、直せば座りやすいと思う」、2年の杉野佳汰君(17)は「コーヒーが飲みたくなるようないす。リラックスできる」と感想を話した。